- 2025.06.10
【アーティスト紹介】どんな人が着ても、不思議と似合う服/HARIKO
大分市を中心に活動するファブリックアーティスト・HARIKOさん。
HARIKOさんは、布と糸に意思を宿すような、力強く、見る人のこころに真っすぐ届くような作品を生み出しています。彼女が服づくりを始めたきっかけは、エステの仕事をしていた2018年頃。
「もともと自分で服を作ろうなんて、思ったことがなかったんです。どうせ、無理だろうって。でも、鶴丸先生(大分県在住の服飾デザイナー、鶴丸礼子さん)と出会ってから、“私でもできるかも”って思えるようになったんです」
ある日、先生が作ろうとしていた写真集にモデルとして誘われたことがきっかけで知り合い、そこから関係がスタート。たくさん会話を重ねるようになった。
「ファッションショーを一緒に見に行ったりして、だんだんと“自分もやってみたい”って思うようになってきて。OPAMでも、演者として出させてもらいました。自作の服も着て」
そこから2年間ほど、服づくりを先生に習うことに。仕事との両立に限界を感じ、エステの仕事を手放して、服作りの道へと進んだ。
「生まれつき目が悪くて、右は見えなくて、左も0.06くらい。だから、何かに挑戦する前に“私には無理やろう…”って思ってしまっていて。でも、始めてみたら意外と大丈夫で。人と同じようにはできなくても、自分なりにできればいいのかなって」
最初は型紙通りにかちっとした服を縫っていたけれど、「なんか面白くないな」と感じて、少しずつ今の自由な作風へ。デッサンも行わず、思いついたままに手を動かす。
「実は絵はあんまり得意な方じゃなくて。でも、作りながらどんどんデザインが変わっていくのが面白いんですよ。失敗しても、ほどけばいいし、取りあえずやってみる。そういう感じです」
糸は、いろんな色が混ざっているのが好きで、服を縫うときには必ずそういう糸を選ぶというHARIKOさん。

▲作品を制作しているHARIKOさん
「OITAまちなか芸術祭 POART FES」では、POART登録アーティスト4人展で展示を行った。
「年配の方から子どもまで幅広い年代の人が見に来てくださって、意外でした。あと、前日展示に来てくれた年配の方が、次の日に使ってほしいってボタンをくれたんです、そういう触れ合い、なかなかないのでうれしかったですね」

▲2024年10月に行った「POART FES」にて
2024年12月に開催された野津原の「福城寺」で開催されたイベント「お寺でファッションショーやってみた。」では、HARIKOさんが制作した作品を地域の方々が身にまとい、お寺の本堂の廊下をランウェイに見立て、ファッションショーを開催した。
「ファッションショーはほんの5分ほどの短い時間でしたが、和楽器とギターの生演奏がとてもすてきで、心に残る時間になりました」

▲「お寺でファッションショーやってみた。」ランウェイの様子
6月には、東京で8人のグループ展にも参加予定。東京の作家から声がかかり、少しずつ活動を県外にも広げていこうとしている。
作品づくりで大切にしているのは、「マンネリ化しないこと」。「個展を開くにしても、同じようなものばかりじゃ、自分も飽きるし、見てくれる人もつまらないと思うんですよね。難しいけど、いろんなアイデアを出して、楽しく作っていけたらって思ってます」
HARIKO (ファブリックアーティスト 服飾デザイナー)
大分市を中心に活動。糸で絵を描くをコンセプトに童謡や昔話をヒントに子供から大人まで楽しめる作品作りを心掛けている。最近は糸だけに止まらず、古着やハギレ、お菓子の袋なども作品に使用して自分の世界を作っている。